2013年2月1日金曜日

オススメレビュー『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』


『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』

監督:福田純
公開:1972年

オススメ度:なし


地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン [DVD]

ひょんなことから、世界子供ランドの怪獣デザインに係わることになった売れない劇画家の若者が、子供ランドに潜む恐ろしい陰謀に気づき、巻き込まれ、恐ろしい敵と対決することになる。

SF(的なガジェットの)アクション映画とするなら、さほど悪いとは思わない出来で、事件に巻き込まれていくストーリーテリングは、結構いい語り口だとすら思う。

怪獣映画はオープニングからのストーリーテリングが肝だと思うので、そこだけ切り出すと高い評価にしても良さそうなものなんだけど、そのストーリーテリングが肝心の(悪役)怪獣につながってないので、むしろ駄目。圧倒的に駄目!

この映画でいうと、ガイガンである理由。ガイガンでなければならない理由。ガイガンのアイデンティティと、敵役の陰謀ががっちり結びついていてはじめてストーリーテリングが生きてくる。

それがちーっともない。

いや、表面的にはあるよ。「科学が発展しすぎると平和が遠のくかもしれない」っていうテーマだから、ガイガンは改造された宇宙怪獣(サイボーグ怪獣)だっていう。でも、劇中にガイガンがサイボーグに改造されたあれこれ的な話がなんにも出てこない。
これだと、サイボーグ怪獣ってのは、単なる意匠に過ぎない。

格闘ゲームとかで敵キャラのスキンが、ただメタリックなだけです……みたいな。それだけの話。
ガイガンでなくてもいいし、キングギドラでなくてもいいんだ、この話。

ストーリーテリングの部分や、敵の正体の仕掛けは面白いし、語りたいテーマだって悪くないだけに、怪獣映画の中にテーマをちゃんと落とし込んでないのがすごくもったいない。

子供だましの映画だというなら、本気で子供をだましてほしかった……そんな映画です。

ガイガンのデザインは本当に素敵で嫁に欲しいぐらいだし、肝心な所以外の脚本は悪くないので、オススメ度的には「見るんじゃなかった」ではなく、「評価無し」的な意味で★無しです。

(追記):ガイガンを「そうなったかもしれない悲劇のゴジラ」として描いてたら良かったんじゃないかな。「敵」たちが生き延びる選択として、彼らの守り神であったガイガンを科学の力で改造してしまった……といった過去があったとか。『ゴジラ対ヘドラ』以上にテーマが昇華できた気がするんだけど。

2013年1月19日土曜日

オススメ 『オリーブの林をぬけて』


『オリーブの林をぬけて』

監督:アッバス・キアロスタミ/イラン
製作:1994年

オススメ度:★★★★

オリーブの林をぬけて [DVD]

いわゆる『ジグザク道三部作』(『友だちのうちはどこ?』『そして人生はつづく』)の完結編。

『友だちのうちはどこ?』の舞台となった村は、1990年のイラン大地震によって壊滅的な被害を受けた。
映画に出演した子どもたちの安否を尋ねに行ったキアロスタミ監督が、その時の経験をもとに撮った映画が『そして人生はつづく』。
『そして人生はつづく』にあった「震災の翌日に結婚式をあげた新婚夫婦」のシークエンスをきっかけに生まれたのが、『オリーブの林をぬけて』。
『オリーブの林をぬけて』の主演の男女は実際に、男性(ホセイン)が女性(タヘル)に求婚して断られた関係。この映画は、その関係性をもった二人が役者として、新婚夫婦の役を演じている撮影現場の物語。

役者と役柄が何重にも入れ子構造になっており、物語が進むにつれ現実と虚構の境は突破され、曖昧になっていく。

短いレビューなどを見ると「みずみずしいラブストーリー」などと評されることもあるこの映画だけど、「本当にそう見えるの?」と思わずにいられない。

もちろんラブロマンス、あるいはラブコメディーとして見ても構わないとは思うけど、ホセインとタヘルの二人によって描かれているのは、非常に厳しい世界観のように思える。無常観というか、神ならぬ身の人間という存在の悲しみがひしひしと押し寄せてくる。

作中のホセインは、ひたすらにタヘルに求婚する。撮影の合間、取り直しのカットとカットの間のほんのわずかな瞬間に、自らの思いをタヘルにぶつけるが、タヘルは一切答えない。
「返事をしてくれ」
タヘルの言葉が発せられるのは、「アクション」撮影がはじまり、役柄の新婚夫婦としてのセリフだけ。

問えども答えはない。

この映画では、この関係性が随所で繰り返される。

わずかなエピソードをエンターテイメントとして仕上げた手腕も見事。そして何よりも観客にテーマを染みこませる物語の力に感嘆せずにはいられない作品だ。

そして、映画が進むにつれ何かに取り憑かれたかのようになっていくホセインの姿に、キアロスタミは鬼だと思わずにはいられない。

1月堺ライター講座開催のお知らせ


真っ白な紙に黒いインク。ただそれで描かれた文章が、緑なす山脈、紺碧の海原、鮮血の戦場をも生み出します。

「目に景色が浮かぶよう」
一体どうすればそんな文章が書けるのでしょうか?

1月の堺ライター講座開催のお題は、「五感に訴える文章技術」。

小説や脚本のみならず、エッセイや紹介記事などにも応用できる具体的な技術をお伝えします。

■日時:1月21日(月) 14:00~18:00
■場所:紙cafe
■アクセス:阪堺線「大小路」電停 より徒歩数分
       南海本線「堺」駅より 徒歩10分
       南海高野線「堺東」駅より 徒歩15分
■料金:1000円+ドリンク代

《参加申込/問い合わせ》
 090-1225-7915 フチガミ まで
■リンク:



2012年12月5日水曜日

12月堺ライター講座開催のお知らせ

12月の堺ライター講座開催。

今回のお題は「プロット作成」。
内容は、「感情のプログラミング」。
思いついたシーンやイベントなどの素材をどのようにシナリオ化して、感動を読者に伝えるのか? その秘訣について語ります。

小説や脚本のみならず、エッセイや紹介記事などにも応用できる具体的な技術をお伝えします。

■日時:12月10日(月) 15:00~18:00
■場所:紙cafe
■アクセス:阪堺線「大小路」電停 より徒歩数分
       南海本線「堺」駅より 徒歩10分
       南海高野線「堺東」駅より 徒歩15分
■料金:1000円+ドリンク代

《参加申込/問い合わせ》
090-1225-7915 フチガミ まで


2012年11月18日日曜日

堺ライター講座開催しました


11月11日(日) ホウユウにて堺ライター講座を開催しました。

蝸牛の轍 第2回開催しました

10月22日(月) 紙cafeにて「女神論」で芸術サロンを開催しました。
参加者は、渕上、新井、たに、アキぽん、yuukiの五名です。